続く世界に種を植えよう。

未熟な物書き、『アルト』の小説置き場。                               読みたい小説をカテゴリから選んでください。一番下がプロローグになっておりますので、注意。

第1章「レッドタイマー」

1

「行ってきます」
朝食のパンを口の中に含みながら、家の中にいる家族に言う。
しかしまだ生きていられるとは。
東アジア以外の土地は焼かれ、その時点で多くの国との貿易が無くなった。
それはつまり、頼れる国が限られているということ。
同時に、食糧などは殆ど自国で生産せねばならないということだ。
その原因となったのは、1年前謎のロボットにより半年ほどで東アジア以外が焼かれたことだ。
どの国も必死で抵抗するも、謎のロボットの力には及ばず消えてしまった。
このことから政府は火星移住計画を早くしろ、と五月蝿い。
どうせ、今何をどうしても変わらないのだが。
しかし謎なのはそのロボットだけではない。
なぜ東アジアだけ被害が何もないのか?
人一倍アニメやSF小説を見てきた俺としては、「東アジアには攻撃しないようプログラムされている」という結論が出た。
あくまで予想なので、その可能性は低いだろうが―
「みーなと君っ!」
まあ、一人の高校生ごときが考えたところで何にもならないだろう。
「みーなーとーくーん?」
そういえば今日は集めている単行本の発売日だったか。
学校の帰りにでも寄るとしよう。
「・・・・キスするよ?」
「おま、それはやめろぉっ!!」
さっきから無視していた奴から慌てて退く。
「なあ、そろそろそういうのやめてくれねえか?こっちも心臓がもたねえよ」
無邪気に笑いながら、彼女は自慢のロングの金髪を揺らす。
「でもさー、湊君もまんざらでもないじゃない感じじゃん?」
「るせっ!ったく、学校遅れるぞ」
下手にごまかし、先に進もうとする。
・・・・まあ、まんざらでもないのは確かだが。
彼女―秋雨紫音。
学校のマドンナ的存在だが、他の男には興味がなく、俺と特定の人物にしか接しないらしい。
それはそれでどうかと思うのだが・・・・。
「あー、またクマできてるよ。昨日の夜は何してたの?人に言えないようなコト?」
「読書だよ」
素っ気なく答える。
「エロ本?」
「だぁぁもううるせえな!小説だよ!!」
「対象年齢は?」
「15歳以上」
「えっちぃ小説?」
怒りがこみ上げて来る。だがこれもいつものことだ。
この程度で怒っていては身がもたない。
「・・・・・どうしてそう俺を変態君にしたいわけ?」
「面白いじゃない」
心の底から叫びたい。「お前はバカか」と。
しかし無邪気な笑顔を見せられてはそういうことも言えない。
大きなため息をつく。
「ため息なんてついてたら幸せ逃げちゃうよ?私との幸せがね・・・・?」
「だあああああああっ!!思うのは勝手だが言うな恥ずかしい!!」
「でも拒否しないんだよね」
「う・・・・そ、それより!今日はいい天気だな!」
「曇りだよ」
ぐっ。
くそ・・・下手に喋らない方がいいのか・・・・。
だがそれでは逆に先ほどのようにキスをされる1歩手前まで来てしまう。
いっそのことキスしてしまえばいいのか?
残念だができるほどの勇気は持ち合わせていない。
紫音に任せればいいと言うだろうが、残念ながら俺は自分からキスしたいという、
面倒くさいタイプなのだ。
・・・・する彼女もいないのだが。
「ねーぇ、付き合おうよぉ」
「やだ」
「なんでー?」
「身がもたないんだよ」
「大丈夫、優しくするから」
「何の話だよ」
「分かってるくせにぃ」
・・・・などと話していると、いつの間にか学校に着いている。
登校中の他の男子の視線が痛いが、俺のせいじゃない。そうに違いない。
というのもいつものことだ。

いつものように生徒玄関で靴を履き替え、
いつものように教室に入る。
いつものように―紫音が俺の左腕にしがみついたまま。
「離れろ紫音ッ!!」
「やだーぁ」
不幸なことに、紫音と同じクラスなのである。
「よう、湊に紫音ちゃん。今日もお熱いことで」
軽い口調で俺達の前に現れたのは、クラスメイトであり、親友の上野貴也。
親は政府の関係者らしく、こいつもそういう情報には強いらしい。
「あのな貴也。俺だって好きでこういうことしてるわけじゃねえんだよ」
「それはともかく、紫音ちゃんまた胸大きくなった?」
こう堂々とセクハラするこのアホはどうにかならないものか。
・・・いや、特筆すべきでないと思っていたのだが、
確かに紫音の胸は大きい方だ。いや、決してやましい気持ちはないのだが。
「あ、やっぱり分かる?流石、貴也君だね」
いや流石じゃねえよ。適当だろ。
「今適当とか思ったろ?ふふ、分かるものさ」
「そうそう、分かる人には分かるんだよ」
「変態パワーすげー、わーわー」
棒読みで言いながら腕に絡みついている紫音を払い、自分の席に向かう。
なぜ他の男はダメで俺と貴也はOKなのか・・・・。謎だ。
まじで変態パワーなのか?
「んだよー、ただの冗談じゃねーか」
「そうだよ、これで妬いてちゃ彼氏失格だよ」
「誰が彼氏だッ!!」
「お前」「湊君」
くそうぜぇ・・・・・・こいつら。
しかもまだ始業時間まで20分ある。もう少し遅く家を出ればよかった。
俺の席の前の席に、貴也が座る。
俺の前の席に貴也がいるのだから、たまったもんじゃない。
隙を見ては俺にちょっかいばかり掛けて来る。
「なーなー、ホントのとこどうなん?好きなんだろー?」
「ケッ、もう言うかよ」
昔、この質問に対して「ああ好きだよ」と答えた。
すると貴也は「おぉいやっぱりこいつ紫音ちゃんのこと好きなんだってよー!!」
と周りに言いふらし始めるのだ。
1分もたたないうちに鳩尾に膝蹴りを食らわせ黙らせたのだが。
「んだよー、いいじゃねえか」
「根に持つんだよ俺は。しかもその質問は172日目だ」
学校が始まって3カ月。貴也とは今年からの付き合いだが、1日1回必ずこの質問をする。
つまりうざったいのである。
「おお、よく覚えてんな。で、どうなん?」
頭にチョップを食らわせる。
これであと20分黙ってくれればいいのだが。
「隙ありだ湊ぉーっ!」
「ごぅっ」
後頭部にチョップを食らう。
自分の口から奇声が発せられたが、こんな芸当ができるのは紫音以外にいるわけがない。
「やめろよもう・・・・・」
「えへへー、隙だらけだったもので」
朝っぱらからストレスしか溜まらない・・・・もう何なんだ。
また大きなため息をついて、始業時間までの残り時間を確認する。
「っ!?」
時計を見て、ぎょっとした。
・・・・見間違いか。
今一瞬、時計が真っ赤になっていたように見えたのだが。
いや気のせいだろう。ちゃんと黒い時計に見えている。
きっと疲れているんだろう。こんな環境なら仕方ないだろう。



『7時51分、秋月湊の生存を確認。ティエの存在も感知せず。平和です』
『そろそろ、赤の時間が来る頃か』
『黒い雨からまだそう月日は過ぎていないだろうに』



2に続く―。

東日本大震災-ある少年の視点-

平成23年3月11日。
その日は中学校の卒業式だったので、先輩の卒業を見届ける為中学校へと行っていた。
先輩の卒業を見届け、家に帰った。

その時にはもう、起こっていた。
母が見ていたテレビには、地震の情報を伝えるキャスターが。
「何?何があった?」
話を聞くと、東日本が地震によって甚大な被害を受けたらしい。
精神年齢が低いからなのか―
そのことを大変なことだとは思っていなかった。
自分には関係ない、なんて思っていた。





―今はどうだろうか。
確信は持てないが、昔よりかは人について、命について考えるようになった。


死者15854人、行方不明者3155人。
約20000人がいなくなったのだ。
その家族は悲しんだだろう。
でも憎むことはできない。
原因は自然・・・・地震という自然災害なのだから。


俺は家族を失ったことがないため、実感はない。
でも、その悲しみが分からないわけではない。


ある日の夜、こんな夢を見た。

自分はある町のある場所にいた。
ただ立っていただけ。
周りの人々はいつものように過ごしている。
だが、それは突然の地震によって崩れ去った。
建物は崩れ、看板が落ちて来る。
迫り来る濁流にのまれ、目が覚めた。

これだけ覚えているのも不思議だが、悪夢以外の何物でもない。
地震が起こってからは、俺がいたのは阿鼻叫喚の場と化してしまったのだから。
俺はただ見ているだけ。
無力な自分が今まで以上に嫌いになった。
だが、1人の何の変哲もない中学生が自分の意思だけで東日本まで行けるわけがない。
行けたとしても、何もすることはできない。
ましてや、家族が亡くなった人を慰めてもどうにもならない。
なら自分にできることは?






―答えは簡単、募金すればよかったらしい。
深く考えることでもなかった。

自分の複製との戦い-いつか使うかもしれないボツネタ-

「な・・・」
俺が二人!?
「お、おいゼロ!俺が本物だ!」
「いや違う、俺だ!」
「黙らっしゃい!!」「ぐべらぁ!!」
・・・・俺を殴りやがった。コノヤロウ・・・・。
「ふはは・・・まんまと騙されたな!」
「黙らっしゃい!!」「ごふぁぁ!!」
偽物も遠慮なく殴りやがった・・・・。
俺に恨みでもあんのかこいつは。



・・・みたいなシーンのネタがあるがすでにFutureはもう一人の自分ネタあるので
多分無いと思う。

First rifle「弾痕、血の跡裏切りの後」-now-

Ⅰ「誘い、断る」

シュルト・・・逃げてろ」
「う、うん!」
突如現れたガレン。
こんなときにまでご苦労なことだ。
しかし、今まで分からなかった俺を狙う理由がはっきりした。
俺が神になる、か・・・ゼロにも似たようなことを言われたな。
「ファランクス、セイノ・・・・やれるか?」
「問題ない」「いけますよ」
上等な返事だ。数人で1人を攻撃するのは好まないが・・・
「こちとら命狙われてんだ。精一杯抗うぜ」
「いや、俺も任務は果たしたんだ。今回はこれで終わりだ」
え。
どうやら俺たちは足止めされていただけのようだ。
・・・だとしたら何のために?

「今頃ラードは死んでるだろうな・・・」
「なっ!?」
「ちっ・・・やはりか!!」
セイノが舌打ちをする。
「じゃあまさか・・・!?」
急いでラードが向かった方向へと行こうとする。
しかし足に大きな痛みが走る。
ふくらはぎに銃弾を撃ち込まれたようだ。
「敵に背を見せるとは隙だらけだな」
「ぐ・・・」
・・・ん?
最初は痛かったが、今はそうではない。
むしろ回復しているような。
「せめてもの詫びだ。その銃弾は勝手に吸収されかっから体に異常はねーよ」
「・・・敵のそれを信じろと?」
「まー信じろとは言わねーよ」
・・・初めて会った時も感じたが、やはりどこか信頼できる気がする。
「アンタ、何のために戦ってる?」
「金だよ」
「違うな・・・本当に金目的なら俺を殺してもいいはずだ」
「ち・・・計算ミスったな」
思った通りか。
「人質とられてんだろ?」
「っは、そこまで分かったか。あぁ・・・そうだよ」
「どうして・・・!」
「裏切りだよ。俺を信用した隙にそいつを助けるのさ。だからお前を殺す」
「俺が死んで嬉しい人間がいるってことか・・・」
まさか、リヴァーレ?
いや、それはないか・・・。
「で、どうする気だ?」
「そうだな・・・もう秘密バレバレだろうし。どうすっかな」
「まさか、ヴェンさん・・・・」
「結局は良い人なんだろ?一緒に戦わねえか?」
もちろん今まで攻撃したことを忘れたわけではない。
だが、俺の感覚が正しいのなら。
「・・・・考えさせてくれ」
「断る!」
「はぁ!?」
「ごり押し・・・・・」
ファランクスが呆れる。仕方ないが気にしない。
「え、えーと・・・それを断る」
「それを断るッ!!」
「・・・・」
セイノが哀れみを込めた目で見てくる。き、気にしない・・・。
「はー・・・どうしてそう俺を求めるわけ?」
「個人的な理由もあるが、何せあんたが心配でな」
「他人に心配される言われはねーよ」
「おいシュルト、いるだろ?」
「あ、うん・・・」
魔法使いであるなら、なんか拘束系の魔法とかないかな。
「なあ、拘束みたいな魔法ない?」
「あるにはあるけど・・・」
「どんなの?」
「溶岩のムチで縛る」
「ごめんなさいついていきます」
溶岩のムチ・・・想像したくない。拷問だろそれは。
脅しのようだがガレンが仲間になった。
「よし、ラードのとこに行くぞ!」
「なんでこんなことに・・・・」
ぼやくガレンの手を引っ張って部屋を出た。


Next future is...
「お前・・・誰だ?」
Ⅱ「Death to Awaken」

プロローグ

「ラード」
死ぬのか。そう思った矢先、懐かしい声がした。
まだ幼い時のガレンの声だ。
あの時は、まだ戦いなんて嫌ってたのに。
どうして今はああなったんだろうか。
「ガレン・・・・」
さっきは声を出すことが難しくなっていたのに、今は何ともなかった。
気付くと周りは一面闇で、何もなかった。
右も左も、何もない。
存在するものも・・・ない。
これが死後の世界?
「はは・・・死んじまったか。未練しか残ってねえぜ」
だが・・・やろうとしたことは全部あいつが、ヴェンがやってくれるだろう。
でも、あれだけは流石に無理だろうな。
苦笑しつつも、何かないか模索してみる。
しかし・・・まるで水中にいるような感覚だ。思うようには動けない。
「ラード」
その声に、大きく反応した。
何故なら、声の主は自分の父親―トルソ・エンプティーだからだ。
「親父・・・どうしてここに!?」
いや、死後の世界なら死人の魂とかがあるのかもしれない。
とするならば、俺は死んでいるのか。
「ラード、よく聞け。お前のそのマフラーはただの不思議なマフラーじゃあねえ」
それくらいは知っている。
代々受け継がれてきたものだ。それだけでも知っていればいいと思うが。
「かなりの大昔だ・・・まだソルレッドが地球と呼ばれていたぐらいまでのな」
「地球・・・・?」
「そんときにゃ阿修羅って守護神がいたんだ。そしてエンプティー家の祖先が阿修羅を基にしてそのマフラーを作り上げたのさ」
「阿修羅・・・・」
確か俺が暴走したとき、ヴェンは俺のことを阿修羅と言った。
まさか、このマフラーのことを知っているのか・・・?
「だけどお前・・・それただの戦闘補助にしか使ってないだろ?」
「そうだけど・・・それ以外に使い方あんのかよ」
「覚醒しろ。お前は変われるからよ」
お前は変われる。
確か5歳くらいのときにもそんなことを言われた気がする。
そして、父は消えた。
「あ、親父!・・・・まあいいか」
言いたいことは山ほどあったが、今はいいだろう。
今言っちゃおもしろくなさそうだから。
「だけど、どうすっかな」
あっちのことも気になる。
だけどどうしようもない。死んでるんじゃ。
「覚醒かな・・・」
覚醒しろ、と言われたので覚醒してみることにした。
死後の世界で覚醒できるかは知らないが、とりあえずやってみることにした。
「覚醒ッ!!」


Next future is...
(エピローグに書いちゃったテヘペロ)

エピローグ

「ゼロ・・・」
ラードはベッドの上で静かに眠るゼロを心配していた。
「なあサナ、ゼロは・・・?」
問いつつサナのいる方へと振り向く。
その瞬間に、腹に何かが突き刺さった。
前を向きなおす。
そこにいたのは変わらずゼロだ。
いや・・・・ゼロではない。
姿はゼロだ。でもその顔は・・・

鬼のような顔をしたその人間は、もはや人でもなければ何でもなかった。

勢いよくエネルギーで構成された剣を抜くと、ラードは意識を失いその場に倒れた。
「ェ・・・・ォ・・・!!」
かすれた声でゼロを呼ぶ。
帰ってきた答えは、背中へ撃ち出された弾丸だった。



「始まるのはまだ早いぞ」
脳に響くように聞こえたその声は、悪意に満ちているようだった。

それでいて、悲しそうだった。



そして第1研究室。
突如現れたガレンによって、部屋は荒らされていた。
「ヴェン、お前は神になりかねない。だから殺す」
「それがお前の目的かよ。残念だな・・・話してることが一つも意味分からん!」
「なら・・・そのまま消えろ」
真夜中に銃声と剣と物との衝突音が鳴り響いた。


Next future is...
「何故、俺は生きている・・・・」
Future twinswordsman-裏切者-
First rifle「弾痕、血の跡裏切りの後」
貴方の仲間と呼べる人が突然裏切ったとき、貴方はどうしますか?

Fifth spear 「存在しない『彼女』」-past?-

Ⅰ「レミ?」

今日は休日。
休日はいつもお父さんと一緒にクジマまで散歩に行く。
私はお母さん譲りの金髪をステップで揺らしながら、お父さんに話しかける。
「ねえねえお父さん、今日はどこに行くの?」
「そうだな・・・・服でも買いに行こうか?」
・・・・珍しい、お父さんからそんなこと言うなんて。
いつもは服とか全然気にしてないくせに。
「おいおいなんだその目は。俺がそういうこと言っちゃ変か?」
「変だよ」
「即答かよ・・・・まったくひでえ奴だ」
しかし、買ってくれるのならばありがたく買ってもらおう。
クジマへと続く林道を、楽しみながら歩く。
これも散歩の楽しみの一つだ。
「なあ、レミ」
お父さんが話しかけてきた。
・・・・またもや珍しい、お父さんから話しかけてくるとは。
「どしたの?」
「もしも、もしもだぞ?ヴェンがいなくなったらどうする?」
お父さんの顔が真剣になっている。
どうして今その話をするのか気になったが、迷わず答える。
「そりゃ嫌だよ。そんなことになるんなら私が守ってあげる」
剣技はお兄ちゃんの方が上だが、私もドーソの人間。剣が扱えないわけではない。
もしそういう危機に陥っているのであれば、必ず助けるだろう。
「そうか・・・悪いな、こんな話しちまって。そうだ、クジマに知り合いがいるんだ。そいつに変わった魔法見せてもらおうぜ」
「ほんと!?どんな魔法なのかな?」
「それはあいつ次第だな」
また楽しみが増えた。
今日は、何不自由なく、暇せず過ごせそうだ。


Ⅱ「ティア?」

「よ、帰ろうぜ」
いつものように彼が私に言う。
スランでも有名なこの高校では、少々授業時間の長いせいか下校時刻が自然と9時以降になる。
開校当初は不満が多くあったそうだが、慣れればどうとでもなるらしい。
今日は4時間授業のため、5時くらいに帰れる。
他校の生徒は遅すぎるとか言うがやはり慣れだ。もうそういうのは気にならない。
「うん、帰ろ」
彼・・・ラードに手を差し出す。
周りからは付き合ってるだのの噂が流れているが、決してそうではない。
とても仲の良い、幼馴染なだけだ。
彼が手を握ると、思いっきり窓の外に投げ出された。
・・・まあ、いつものことだけど。
地面と衝突する直前で、とても心地よいものに包まれる。
彼のマフラー・・・確かこれはキラだったか。
投げ出された窓の方を見ると、いつもの笑顔でこちらを見ていた。
そして窓から飛び降りる。
私の前に着地すると、お姫様だっこで私を抱える。
ゆっくり私を下ろすと、さっきのマフラーを身につける。
「じゃ、行くか」
また手を握り合うと、彼の家へと向かった。

「私たち、いつまで一緒にいられるのかな?」
私は無意識のうちに問っていた。
「さあな。・・・・まあ、お前が望むだけいてやるよ」
彼は顔を赤らめながら答えた。
「おや?なんで顔が赤くなるのかなー?」
「るっせ!ほっといてくれ」
「あはは、楽しみにしてるよ」
「な、何だよ?」
「何でもなーい」
いつか・・・・君と結ばれること。



Next Future is...
「始まるのはまだ早いぞ」
エピローグに続く。

予定、多少矛盾含む

Future,ZEROは頑張る。
ALICE,オレンジは時間をかけてじっくりと。(通常の倍鈍足更新)
Writerは超短編にする。ACT6ぐらいで終わる。
他の作品と並走して更新するというシステムは無しに。
本当に短い。
感情殺しと機械の心とkillerは無かったことにする。
設定などができてるわけでもないし、他の作品に出すかもしれない。

なお、ba-suto1での作品連載中にMS08-Ez8のブログの方で新たに連載を考えている。
状況に合わせて機体の装備を換装する「アリテス(仮)」という機体を駆使して戦う部隊のお話と、
今は「電撃戦争」と名付けているアレの連載。

まあ、期待だけはせずに。


・・・・気が向いたらハイクの方で超短編をやろうかと。

Spear4.5  「始まり、終わり」-past&future-

「博士・・・できましたよ」
「異常はあるか?」
「はい、多少AIに異常があると思われますが・・・身体各部に異常はありません」
「Neシステムは?」
「まだ完璧ではありません。Sフレームを構築中です」
「宇宙戦闘まではまだ考えなくていい。他に比べての性能は?」
「はっ。フィアスト、セコンドの長所を生かした為、フォルスに劣らずの性能です」
「そうか。3人目として使えるならば投入しろ」
「カラーリングを赤に変えろ・・・ですね?」
「言わずとも、そうさ」








始まり

8年前、スイサエン地方首都・ニュア。
そこである日、不可解な事件が発生した。
いつものように外で友人と遊んでいた少年がいたらしい。
そこに突然、スイサエンの自動車・・・カルが猛スピードで少年に突っ込んだ。
基本、カルには運転手補助のためのAIが搭載されている。
そのため、一定以上の速度が出ると、強制的にカルは機能を停止する。

それが何故か、交通事故という事態を招いた。
運転手が居た形跡も見つからず、遠隔操作された可能性も無いと判断された。
スイサエンの技術を以てしてその結果が出たのだから、そうだと受け止めるしかなかった。

死んだ少年の名は、なんだったか。
イクス・・・。そう、イクスだ。

確かある博士の息子。
その博士は無名だが、機械生物だの何だのを造っているらしい。
・・・話を戻すが、これで終わりだ。

死んだ少年の遺体は、見つからなかったそうだ。



終わり

俺は・・・そうか、俺か。

お前と一つになれて分かったよ。

俺は、見届けなくてはならないんだな。

彼らの末路を。

Fourth spear 「駆けろ、荒波の如く」-now-

Ⅰ「プランター」

「・・・・夢?」
1月1日の夜。
目覚めると、知らない部屋にいた。
起き上がって辺りを見渡す。
多分サナの研究所のどこかだろう。
フラスコとかの実験器具が沢山転がっている。
ベッドから降りようとしたとき、勢いよく扉が開いた。
「起きたか少年!」
「誰だよ!!」
よく見るとサナだった。いつもの如くテンションが高い奴だ。
「んまぁ冗談だよ。・・・・ねぇ、ポケット光ってるよ?」
そう言われ、慌ててズボンのポケットを見る。
右のポケットが赤く光っていた。
確か種を入れていたはずだ。
それが光っているのだろうか。
だが、何故突然?
はっと思い出した。
確か、シュルトに会う前も種が光ってたような・・・
「なあ、シュルトは?」
サナを見ると、にやにやしていた。
うん、そういうのはいいです。早く答えてほしいです。
「えっとねぇ、隣の病室にいるよん。今なら起きてるんじゃない?」
頭を掻きながら、ベッドから降りた。
夜だからなのか・・・薄暗い。
隣の部屋に行き、シュルトを探す。
何故かこの部屋は妙にごちゃごちゃしている。
というか私物多くないか。
学校の教科書やら何やらが床いっぱいに散らばっていた。
辺りを見ていると、奥にベッドが見えた。
で、寝ている人がいた。
多分シュルトだろう。
「おーい、シュルト?」
なんとなく声をかけてみる。
返事はない。
シュルトはもぞもぞと布団の中に入り込んだ。
流石に寝るの邪魔しちゃ悪いか、と部屋を出ようとした。
「ふにゃあ・・・・ふぇんくん・・・?」
寝起きの声が聞こえてきた。
・・・・なんだ今の。
「ってうわわわわ!!いっ、今の聞いた!?」
「ああ聞いた」
振り向くと、顔を真っ赤にしたシュルトが居た。
「あわわわ・・・・はっ!何で部屋に入ってるの!?」
いや、様子見に来ただけです。何でとか言われても困ります。
なんとなく部屋の電気をつける。
「入っちゃまずかったか?」
「ま、まずいよ!私の部屋汚いし・・・!」
成程、やはりシュルトの部屋か。
いや待てよ?
確か自分の家あったよな?
まあいい、この際気にすまい。
「正直女子学生の部屋は綺麗と言うイメージはあるが、別に俺は気にしないぞ」
「気にしてよっ!」
不思議な奴だ。
あ、そうだ。種の事聞くんだった。
「本題だ。お前の種・・・今どうなってる?」
「どうなってるって・・・・光ってるけど」
言いながらスカートのポケットから緑色に光る種を取り出した。
「何なんだろうな、これ」
さあ、とシュルトは肩をすくめた。

ん?

確か12月31日は年越しイベントがあったはずだ。
あまり言いたくないが、年越しすると同時ぐらいに俺はシュルトに思いを伝えた。
今はそういうの気にしてないが・・・・じゃなくて。
「私服のまま寝ちゃったのか・・・・」
気付くのが遅すぎた。
しかしいつ寝たのだろうか。
疲れていたかも知れないが、寝る前の記憶はない。
「説明しよう!」
またもや登場するサナ。
これが夜のテンションという奴でしょうか。
ポケットから伸縮自在の棒を取り出して説明を始めた。
「君たちは、クジマの端っこにある神社で寝ていたのである!!」
知らねーよ。
てか、『神社』ってのはクジマにあったのか。
いやそれはどうでもいい。
「そこまでの過程が知りたいんだが・・・・」
「んー、それはまだ仮定の段階だから話したくないんだけど」
何かそのあたりは科学者っぽいなお前。
「それでもいいから教えてくれない?」
「先輩命令なら仕方ないねー」
文句ありげな顔で棒を振り回す。
それに合わせて伸び縮みしている。
・・・・あれが『如意棒』か。
「言っとくけどモデルがニョイボーってだけでこれはただの指し棒だよ」
ですよね。もう黙ります。
「寝てる間にヴェン兄と先輩の血を少しいただきました」
「「何してんのっ!?」」
不思議とハモってしまった。
この野郎・・・・油断も隙もあったもんじゃねえ。
「まぁまぁ、二人の間にできる子供は何ら異常ないから気にしないでいいよ」
「な、何言ってんのサナっ!!」
顔を真っ赤にして杖を出現させ、目にもとまらぬ速さでサナの頭をぶん殴った。
噴水のように鼻から血が噴き出す。
マンガじゃあるまいし、あらかじめ用意してるんだろうな。御苦労だ。
「・・・・・子供に異常ないのは分かったから話を戻してくれ」
「ヴェン君?」
何で俺まで殴られそうな感じなんですか。
そしてやっぱり振りかぶってきた。
慌てて腕で防ぐ。
「ちょっ、危ねっ!」
「んじゃ話戻すけど―」
「待て待て待て!この状態で話をするな!」
「ヴェン君はいつからそんなスケベになったのー!!」
「るっせぇぞテメェらギャーギャーギャーギャー!!!!!」
・・・・・部屋の前にラードとゼロがいた。
うん、ごめんなさい。
「話すなら第1研究室でもいいんじゃないか?」
後ろにいたゼロがサナに言った。
「そだね、ラニィ君も呼んどいてくれる?」
ゼロは何も言わずにその場を立ち去った。
・・・・・そういえば、何か忘れている気がする。
「・・・・セイノは?」
植えられた恋の種は芽生え、
変な不安の種が蒔かれた。

プランターによって。

そう言えば・・・・
「『種』って何だ?」
「ん?何か言った?」
「あ、いや何でもない。シュルト、行こうぜ」


Ⅱ「仮説、多分寝てる」

第1研究室。研究所内で一番広い部屋だ。
色々機材もあるらしく、話し合いの場としても最適らしい。
「テーマは覚醒について。じゃ、よろしく」
全員が集まった場で、サナが前に出た。
その隣にいるのは・・・あれ?
「セイ、ノ?」
「数日ぶりだな」
いなかったとさっき気づいたセイノ。
こいつ、いつの間に離れたんだ。
もしやあの時か。俺が運ばれているときか。
「俺はこの数日、スイサエンに行っていた」
「え・・・?」
セイノとサナ以外が驚いていた。
誰よりもゼロが驚いていた。
そういえばゼロはスイサエンの出身だっけか・・・。
「覚醒についてのデータを調べに行っていたが、やはりスイサエンだな。
 防衛力も半端じゃなかった」
「まさか!スイサエンはもう機能してないはずだ、何故!?」
「ゼロ兄、落ち着いて。今回それについても話すから」
柄にもなくゼロが取り乱していた。
あんなゼロは見たことがない・・・何かあるのだろう。
「すまないが、俺が入手できたのはこれだけだ」
サナが用意したディスプレイに表示されたのは【睡眠】の文字。
「これで私の仮説は7割合うことになったの」
「で、その仮説ってのは?」
ラードが前に出る。
覚醒についてとなれば、この場の全員は黙っていられない。
「まず、みんな覚醒するでしょ?」
男組がうなずく。
「覚醒ってもともと『目覚める』とかをかっこよく言っただけ」
目覚め・・・・睡眠・・・。
あの時、俺は体が寝ているような感覚だった。
「まさか!」
「ヴェン兄は気付いたかな。多分だけど、覚醒とは別に『睡眠』があると考えられるの」
睡眠・・・・。
「いやでも、俺は寝てなんかいなかったぞ?」
「そうだな・・・普通に戦っていたし」
あの時一緒に戦っていたラードはよく知っていた。
「あーでも、炎が青かった」
そういえばそうだった。いつもは赤かった覚醒時の擬似的な炎。
それが青かった。
「あと、感覚が無かったな。痛覚もなければ触覚もなかった。血が出てても平気だった」
「うんうん。それも睡眠したせいだと思うよ。その辺はまだわかんないけど」
「ヴェンさん、今ここで覚醒してみてくださいよ」
ファランクスが言ってきた。まぁ・・・試してみるか。
「覚醒」
ボッ、と額に炎が灯る。
だが・・・赤い。
皆が俺を見たのを確認して、覚醒を解除する。
「んじゃ、試しに睡眠!って言ってみて」
「え、っと・・・・す、睡眠!」
恥ずかしい。意味わからん。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
何も起きない。
顔が赤くなるのを感じた。
「まあこれについてはさっきも言った通りね」
素通りされた。
「次が本題っちゃ本題。スイサエンについて」
ゼロの顔が真剣になる。
「ゼロ兄が言った通り、今スイサエンは廃墟になってて機能してない・・・はずなんだよ
「はず?どういうこと?」
「まあ先輩をはじめ皆はスイサエンについてよく知らないしいい機会だね」
ディスプレイにスイサエンの地図を表示させる。
「3年前にスイサエンはある実験で壊滅的な被害を受けたの。アードと同じ日時にね」
な・・・・。
アードを壊滅させたのはリヴァーレ。
まさか、スイサエンもリヴァーレが?
あ、実験か・・・
うーん、こういうことを考えるのは仕方ないことなのか・・・
「でも、それをもろともせず科学者たちはスイサエンを復活させたのか・・・」
「もしくは、別の人間がスイサエンを私物化して勝手に復活させたのか・・・か」
ゼロも自分の考えを言う。どちらも考えられることだ。
「ねえゼロ兄。ゼロ兄の記憶にある範囲でいいんだけど、ゼロ兄がスイサエンにいた頃に
 交通事故ってあった?」
「え・・・あ、いや、知らないな」
考えながら答るゼロ。
「なんで交通事故なんだよ?」
ファランクスの問いはもっともだ。
スイサエンで交通事故・・・ん?
「待てよ、何でスイサエンで交通事故が起こるんだ?」
「・・・・そうか、なるほど!」
ラードが理解する。
「え、え?」
「先輩、化学が異常に発達したスイサエンで交通事故が起こると思う?」
「・・・・なるほど」
シュルトも納得した。
「そう、だから不可解な事件として有名な交通事故なんだよ」
「ふむ・・・あ、セイノさん?」
「どうした、ラニィ」
「その防衛って・・・具体的には?」
何気ない質問。
確かに、スイサエンなら変わった防衛システムとか用意してそうだ。
「確か、普通に人がこちらに攻撃してき・・・・」
「がはっ!」
突然、ゼロが倒れた。
「はぁ・・・はっ・・・ごほっ!」
激しく咳き込むゼロ。
何だ、何が起きた!?
「ゼロ兄!?」
「ぐ・・・俺が運ぶ!何処に運べばいい?」
ラードがマフラーを伸ばし、ゼロを包む。
「こっちだよ、急いで!」

部屋に取り残された俺たちは、呆然とするしかなかった。

短編:恋の目覚めと除夜の鐘

12月31日。
25日の大戦闘は引き分けに終わった。
あのアホは何がしたかったのだろうか。あとで18発くらい殴っておこう。
「いよいよ今年も終わりか・・・・」
何となく今までのことを思い出してみた。
待てよ、23日に旅に出たんだよね俺。
・・・・・・・・8日しか経ってないのか。
えーと、23日に旅立ってゼロが仲間になり、24日にファランクス、ラードが仲間になってリヴァーレと戦って・・・・。そんでぶっ飛んで乱舞してセイノと出会い俺死にかけ、んで新しい覚醒ができるようになってまた死にかけて、セイノにぶっ飛ばされてクジマに落ちてシュルトに出会って看病されてる途中に山が吹っ飛び行ったらなんかみんないてサイトとか言うやつ倒すつもりが俺やられてまた死にかけてサナの研究所に行って突然シュルトが連れ去られてんで何か変なやつと戦って死にかけて復活して賊と戦ってその後平和・・・・・。
「24日ぁぁぁぁぁぁ!!!!」
というか何回死にかけた?
「4回・・・・・よく生きてるな俺・・・・」
どれもこれも覚醒細胞のおかげで今生きている。
しかしこれ、謎だらけの細胞である。
覚醒細胞があるから覚醒ができる、全人類が生まれつき持っているもの・・・ということしか分からん。
「おいヴェン、そろそろ出るぞ」
部屋のドアを開けたのはゼロだった。
今日は街の中心・・・まぁ25日で戦った辺りの場所で大晦日のイベントがあるとか。
開始時刻は9時からのはずだが。
「・・・・今何時だと思ってる?」
「6時32分14秒11。それはいいからさっさと出るぞ」
「何でそんなに早く出たがるんだ・・・・」
呆れる。ゼロってこんなに子供だったか?
「何、散歩だと思えばいい。別に今からずっと外に出るってわけでもないし」



と、言う事でシュルト宅の近くの広場。
イベントに向けて作業員が魔法を使ってせっせと準備している。
「・・・・寒い」
「なら早く言え。ほら」
そういってコートを投げてきた。
持ってるんなら早く出せ。
素早くコートを身に着ける。
「あれ・・・・何かこれ施した?」
シュルトの手作りだそうだ。炎の魔法を最大まで粒子に変換して糸と結合させた特別製らしい」
そんなこと可能なのか・・・・恐ろしい。
「まぁ、サナの協力も得たそうだが」
だろうな。そんなこと可能なのはサナ位か。
「ってことは作ったのはシュルトなのか」
「愛がこもってていいじゃないか」
こういうのかなりうざったい。切り刻んでやろうか。
「でもまぁ・・・・あとでお礼言っておこうかな」
「折角の今年最後だ。告白したらどうだ?」
剣をゼロの首筋に向ける。だがゼロは動じない。
「告白されたんだけど・・・・俺が返事してないだけなんだよな」
「そうか・・・おっと、敵さんのお出ましだ」
え?
ゼロが上を見上げていたので自分も上を見上げてみる。
目を疑った。
「何・・・・あれ・・・・」
「大晦日仕様か?リヴァーレも暇なんだな」
パラシュートで降りてくるリヴァーレがいた。
なんじゃあれ。かなり変だぞ。
はっとした。リヴァーレなら、中に『俺』がいるかもしれない。
だったら、俺がやらないと!
剣を構えてリヴァーレに向かって飛ぼうとしたらゼロに肩を掴まれた。
「な、なんだよ!」
「『自分』がいるかも知れないから熱くなるのは分かるが、とりあえず落ち着け」
「ま、まさかお前・・・・リヴァーレに寝返ったな!?」
「ちげーよ」
そんなやり取りをしているうちに、リヴァーレが着陸しだした。
ごくりとつばを飲む。
な、何する気だ・・・・?
代表者っぽい人が前に出た。
何か袋持ってる。
まさか、あの中に危険物が・・・・!
「ゼロ、気をつけろ!あの中には・・・・」
「いやぁいつもすんません、これからは仲良くしましょうや」
「こちらからもよろしく頼む」
え。
え?
何これ、俺の目の前で何が起こってるの?
「あれ・・・この人は?」
「裏切り者だ、撤去してかまわん」
「え、ちょ」

「ぎゃああああああああああああああああああああああああ!!!?」
「うわっ、どうしたのヴェン君!?」
「はー・・・・はー・・・・夢か・・・・?」
「結構うなされてたけど・・・・」
「はっ!俺寝言とか言ってなかったか!?」
多分シュルトはずっとここにいたのだろう。
何か恥ずかしいこととか言ってなきゃいいけど。
「えっ!?あ、いや・・・・何も言ってないよ」
そうか、ならよかった・・・。
「ねえ、ヴェン君・・・」
「コートのプレゼントだったりする?」
「な、何で分かったの!?」
「夢に出てきた。炎の魔法を最大まで粒子に変換して糸と結合させた特別製だっけか」
そこまで言ったところでシュルトの顔を見ると、涙目になっていた。
「あ、ごめん!先に言っちゃ悪かったよな」
やっぱりこういう恋愛的なものは苦手だ。
「ううん、いいの。んじゃこれ、机の上に置いとくね」
それだけ言うと部屋を出てしまった。
次いで入ってきたのはラードだった。
「ほうほう、随分と女心が分かってないと見える」
「うるせー・・・」
「いいか?女ってのは好きな男に対するプレゼントを必死に考えてんだよ」
何か語り始めた。
「夢で見たのか知らんが、先にネタ言っちゃサプライズも何もないだろ?」
「そうだけど・・・・」
「折角今年最後の日なんだ。嫌な事は無しで来年迎えようぜ」
それだけ言い残して出て行った。
「今年最後、とは言ってもなあ・・・」
明らかに好意むき出しのシュルトに対してまだ自分の気持ちが分からない俺。
どうはっきりさせろと・・・・?

そして、イベント開始時刻の9時。
机の上のコートをゆっくりと着る。
モヤモヤとしたものを抱えたまま、イベント会場へと向かった。
「・・・・やっぱり、そうなのかな」
空を見上げると、星が綺麗に瞬いていた。
シュルトが連れ去られたときも、変な気分だった。
「分からねえな・・・・」
そういえば、親父はどうやって母さんと結婚するまでの関係になれたんだ?
「むぅぅ・・・・考えるだけ無駄か」
これが恋、と割り切ってしまうのもいいだろう。
となると、俺は―
「何考えてんだ俺っ!?」
「わっ!?」
独り言のつもりが、ファランクスに聞かれてたか。
・・・恥ずかしい。
「ヴェンさん、相当悩んでるみたいですね」
「あぁ・・・・まともに話せるのはお前だけだよ」
ファランクスは苦笑いをして、話し始めた。
「サナも、あんなですけど案外可愛いんですよ」
「でもお前逃げてるじゃん」
「・・・・一種の愛情表現ということにしてください」
苦しいぞそれ。
「あれ、そういえばお前らって結構前からの知り合いっぽいけど」
「あぁ・・・訳ありです。幼馴染で一緒にクジマにいたんですけど、気付いた時から離れ離れだったんです」
へぇ、そんな過去が。
とは言っても俺たちはそんな奴らばっかりだ、いまさら珍しくもない。
「また会えて嬉しいんですよ、俺もサナも。ヴェンさんも頑張ってくださいね」
「だ、だからシュルトとはそういうんじゃ・・・」
「俺はシュルトさんの名前は出してませんよ?」
ぬぐ・・・自爆した。
会って1週間。
そろそろ返事出さないとな・・・・
目を閉じて考えていると、ファランクスの隣あたりに誰かが立つ音がした。
目を開けて見るとサナだった。
ファランクスを狙ってきた・・・・訳じゃなさそうだ。
「ヴェン兄、素直になりなって」
「だからそういうんじゃ・・・・」
「じゃあ誰かに先輩がとられてもいいの?」
それは・・・・うぅん・・・・
「やめろサナ、困ってるだろ」
「じゃあ聞くけどさ、ヴェン兄にとって先輩はどういう存在?」
「・・・・守るべき、としか分からない」
種もシュルトに反応している様子だし、確実に何か役に立つ時が来る。
そんな気がする。
「それだけかよ」
気付けば、シュルト以外の仲間たちがいた。
その後ろに多くの知らない人がいた。地元の人々だろう。
そして多分25日の戦いを見てた人でもあるだろう。
アルバースト!おめぇの意思なんてのはその程度かー!」
とか、
「それは恋よ!思い切って告白しなさい!」
とか、
「お前がそうなら俺が取っちまうぞー!」
とか、もうすごくうざったいぞ。
「行けよ」
誰かがゆっくりと俺の背中を押した。
すぐ後ろを振り向くが、それらしき人はいなかった。
「・・・・ありがとう、俺ならやれるよな」
なんとなく呟いてみた。
「おい、ヴェン・・・・」
ラードが俺の背中を指さしていた。
気にしない。
「I can fly」
大きな音とともに、俺の背中から翼が生えた。
後ろから歓声が湧き上がる。
「なんだー!?」
「何の魔法を使った!?」
「そんなことはどうでもいい、一気に飛べえええ!!」
なんか25日のときにもいた人がいるぞ。
そんなことはどうでもいい、か。
なら俺は、お前らを無視して飛ぶ!!
地面から離れ、一気に大空へ舞い上がる。
「ヴェン、お前なら―」
お前なら、できるさ。



あっという間に会場へ着いた。
そこには、涙目で戸惑っているシュルトがいた。
「あうあう・・・どうして誰もいないの?」
その後ろに着地する。
翼は生えたままだが、気にしない。
シュルト
はっとしたシュルトが振り向いた。
「行こう、一緒に」
数秒の間を置いて、シュルトは応えた。
「・・・・うん!」
町中に歓声が響き渡った。
多分瞬間移動魔法かなんかでここまで来たのだろう。
場の盛り上げとしては十分だ。
シュルトの手を握り、飛びあがる。
「俺、あやふやだけど分かった」
「ヴェン君・・・・」
「俺は、お前が好きだ!」
確信は持てないが、この気持ちは本物だ。
見てるか、親父?

種の鼓動とともに、鐘が鳴り響いた。






翼を広げて大空へ飛ぶ俺を見た者の中に、神と表現する者もいたそうだ。
年明け早々に俺達のことが新聞に載ったのは言うまでもない。

短編:ヴェンのクリスマス

12月25日。
昨日の方が圧倒的な盛り上がりだったが、今日もそれは衰えていない。
いちゃつく以外にすることないのかお前らは。
心の中で愚痴る。
「リア充なんて爆発すればいいのに」
「あれ、ヴェン兄?」
後ろからひょこっと出てきた少女がいた。
クジマの端っこにある研究所に住んでいるサナだ。
あれ?
確かサナにはファランクスがいたような・・・(半分サナの人形みたいなもんだが)
「先輩と一緒じゃないの?」
「別にそういうんじゃないってんだろ・・・」
「あっちはその気だけどね」
「そっちは?」
「ラニィ君を全力で捜索中だよ」
目が光った。なるほど、ファランクスの逃げたい気持ちがよくわかった。
頑張れとだけ言い残して亜光速で走り出した。怖いわあの子。
不意に、左右に人がいるのを認識した。
どうせ非リア充だろう。
「よう暇人」
「俺はこういうのに興味ない」
「負け惜しみはいいから彼女作れ」
ラードとゼロだ。
いや、ゼロは彼女できなくても別に気にしてなさそうだが。
ラードの執念が怖いぞ。
「おーい・・・どうした?」
「リア充なんているからリヴァーレが現れるんだああああああああ」
・・・・・手遅れか。
別にリヴァーレはリア充に執念も何も持ってねーだろ。
「お前もリア充だから死ねええええええええ」
理不尽だ。俺非リアです。
「・・・・ヴェン、なぜ一人なんだ?」
「そりゃ非リアだからだろう」
シュルトが探してたぞ」
え。
「あぁそうだったな。というわけでランデブーとかさせないためにお前を殺しに来た」
「どんだけ!?」
むざむざやられてたまるか。
急いで逃げようとするが、ラードのマフラーに抑えられた。
「なぁに・・・殺しはしない。全殺しだ」
「死んでるじゃねーか」
急いで背中のホルダーから剣を抜く。
「お?」
「なんだ、ケンカか?」
「いいぞー!やっちまえー!」
何か野次馬出てきた。うぜぇ。
こうなったらゼロに協力を求めるしか・・・
「まぁ俺戦意無いから野次馬に混じるわ」
裏切りおった。
はぁ、とため息をつき、マフラーから一気に離れる。
「おい、あの剣の形・・・・アード村のフォルムじゃないか!?」
「ということはまさか・・・・生き残りのヴェン・アルバースト!?」
「あっちのマフラー見ろよ!ありゃエンプティーの特殊マフラーだ!!」
「こ、これはなんてこった・・・・こんな街中でこの二人の戦いが見れるなんて!」
ばれたか。こりゃ更に面倒だ。
しかしこんな街中でバトルしちゃ周りに被害出るだろ。
ふと、ポケットに何か入っているのが見えた。
それを取り出すと、紙切れと小さなカプセルだった。
紙切れには「これ使えば周囲がバトルフィールドになって周囲に被害が出ない」と書いてあった。
・・・・ゼロめ。これ想定して入れたな。
急いでカプセルを地面に叩きつける。
カプセルから緑色の膜が現れ、野次馬と俺たちの間に境界線を作った。
「始めようぜ・・・・」
殺る気満々だ。下手すりゃ本当に殺される。
早速6体の剣持ちマフラーがこっちに向かってきた。
「のわっ!」
慌てて体を後ろに反らせて避ける。
一度地面に倒れて右に3回回転、立ち上がってラードに斬りかかる。
だが、後ろにもう先ほどのマフラーが追いついていた。
早っ!?
いや、フィールドが狭いからか。
あぁもう、使いたくないのに・・・!
「覚醒ッ!!」
おお、と歓声が沸きあがった。
「あれがアルバーストの覚醒か・・・」
「武器は大剣に変化するのか・・・」
などと、周りの何かえらそうな人たちが言っている。
こういうの苦手だ・・・・畜生。
「早いとこ終わらせるっ!!」
高く飛び上がり、大剣を構える。
強く握り、大剣に炎を纏わせる。
「イフリートブレィクゥゥゥゥッ!!」
叫びながら大剣を振り下ろす。
当てる気は無いから衝撃で吹っ飛ぶ位だろうか・・・
と思ったら地面と衝突するところにラードが来た。
死ぬ気かこいつ。
にやりと笑うと6体を集めて防御態勢に入った。
受け止める気かよ!?アホ?アホなの?
1回やって失敗してるよね、なのに何でやるのこの人。
・・・・いや、今のこいつならやりかねん。
剣と剣がぶつかり合い、火花が飛び散る。
やっぱ押し返して来やがった。
そして予想外―俺を吹っ飛ばした。
おいおい、嘘だろ。
覚醒無しで覚醒技はじき返すとかおかしいよね。
そんなをよそに野次馬のテンションは更に上がっていた。
「うおおお!すげえぞエンプティーの!」
「覚醒せずに覚醒技を弾きやがった!!」
「いや・・・奴はすでに覚醒している。非リア充としてな!!」
おおー!と更に歓声が沸きあがる。

誰か助けて・・・・。

エレクトロニック・ブレイン・ウォーズ 読み切り?

西暦2032年。
世界は異常な速度で発達していき、「未来の姿」へと変貌していた。
それを可能にさせたのは・・・・ある組織。
名前だけは聞いたことがある。
サジタリウス。
射手座の名を持つその組織は、突然現れて世界を「未来の姿」に変貌させた。
もちろん、その時代にあるはずのない技術を駆使して。

2032年。かなり情報化が進んでいる。
その中で、ネットワークに接続可能な機器を持たぬ者はいない。
しかし、変わってしまった今ではそんなレベルではない。
他人の端末を侵食し、意のままに操るウイルス。
それを容易く製作し、簡単に任意の人物の端末に送ることが可能になっている。
サジタリウスはそれを可能にさせた。
「データの粒子化」によって。
何を目的にそうしたのかは不明。
そう、サジタリウスそのものが謎なのである。

「っく・・・無理かぁ」
手を後ろで組み、あくびをする。
これで何度目だろうか。
サジタリウスのコンピューターの捜索&ハック。
毎回サジタリウスが「通った」と思われる痕跡を見つけ、それを追っていく。
待っているのはウイルスだが、それは好都合。
その送り主をたどればサジタリウスは見つけられる。
・・・・はずだが、何故か送り主を見つけることができない。
「どうした、また失敗か」
後ろから突然現れたのは、アイスキャンディーを2本持った俺の友人だ。
このクソ暑い夏はアイスに限る。
1本もらってシャリとかじる。
「ったくサジテの野郎共・・・・妙なロックかけてやがる」
アイスを口にくわえて愚痴る。
しかしそれは事実。
俺たちのようなコンピューター専門グループ「レインズ」ですらそのロックが外せないのだ。
「やっぱあれか、未知の技術か」
アイスをかじりながら問ってくる。
「いや・・・奴らの思うような情報化社会にしたいなら、奴らの都合がいいようにコンピューターも支配されているだろ。ロックも多分奴らの都合がいいコンピューター、俺たちの使ってるタイプにも対応しているはずだ」
・・・しかし、何故こうもロックが複雑だ。
もう一度挑戦しようとキーを叩く。
出てくるのは、不規則に並んでいる文字。
表示されている物は先ほどメモしたものと同じ。
だがそこまでだ。
解き方が分からない。
例えば・・・ログインのパスワードがあるだろう。
あれをハックしてパスワードを変えようというのなら、
管理コンピューターに入り込んで、プログラムを根っから作り上げていけばいい。
・・・・まぁ、俺らだからできることだけどな。
しかしこれは違う。
文字列をコピーし、プログラミングして加工してみた。
するとどうだ、完成したのはただの黒い画面。
つまりウイルスが完成したというのだ。
ということは、サジタリウスはウイルスを「壁」にしているということになる。
「ぐぅぅ」
文字列におかしなところがないか目を凝らして見る。
・・・・おかしいところはない。
ただのウイルス。
何故ウイルスが壁になるのかって?
じゃあそうだな・・・猛毒の霧でできた壁があるとしてくれ。
そこを通ると、君はたちまち意識を失い、死に至る。
その壁を通ろうと思うか?
通らない、まぁこれが普通だ。
というわけで俺たちはこの壁をぶち壊して、壁の向こうにいる奴らに会おうってのをしている。
「おい、なんか見つかったかよ」
アタリ棒を振りながら寝っ転がる。
「駄目だ・・・・どのソフトもウイルスとしか判定しない。いや、どこからどう見てもウイルスだけどさ・・・」
「まぁ、見たところそうっぽいな」
アタリ棒をくわえて俺の横に寝っ転がった。
「諦めたらぁ?」
「よくもまぁそんなに簡単に言ってくれるぜ・・・」
ギブアップを意味する、赤いボタン。
閉じた瞬間、画面は赤色に変わった。
「WELCOME! Let's play game!」
黒い文字で書かれたそれを見て、俺たちは目を疑った。
やっと始まった。
「ゲームだ!」

ゲーム。
ただのゲームじゃない。
実力勝負。簡潔に言えばネットバトル
「さてサジテ・・・・俺のPCの使い方見せてやるよ」
指をポキポキと鳴らす。
画面に表示された、「Sagittarius」の文字。
その下に表示された、青いゲージ。
これはHPだ。

~ゲームのルール~
1,先攻後攻はなし。
2,互いのHPが無くなるまで戦闘継続。
 敗者にはバツゲームが待っている。
3,攻撃方法、アクターの動きは全て指令を出すこと。
 それが実行される。

まぁ、鼻で笑えるだろう。
ルールは確かにしょぼいかもしれない。
だが、戦い方は尋常じゃない。
並の人間では、プレイできない遊戯。
それがゲーム。
「さぁて・・・・何処をブチ抜こうかい?」
画面上に現れる、自分の分身。
戦闘用アバター、「アクター」。
ささっとアバターの表示設定をし、相手と情報の同期が始まる。
同期が終了し、3カウントが始まる。
2・・・・・1・・・・・・・。
「ゼロっ!!」
高速でキーを叩く。
「b o w―弓」
コレを入力しエンターを押す。
情報を受信したアクターは弓を構え、相手を狙う。
弓を引く。
「s h o t-撃て」
指令を出す。
だが、自分のアクターの腰から血が噴き出した。
その後に矢を放った。
「先手を取られた・・・・!」
「まーまー、これが初陣なんだし、軽くひねりつぶしてやれよ」
言ってることが違うぞ。
・・・だが、確かにゲームの実戦は初めてだ。
多分、シローの方が上手いだろう。
「R e c o v e r y-回復」
キーを叩き、回復の指令を出す。
だが追いつかない。
次から次へとダメージが加算されていく。
焦りがすべてを支配していく。
熱さなんかじゃない、焦りで汗が噴き出る。
それを遮ったのは、シローだった。
「シュウ、貸してみ」
珍しく俺の名前を呼び、パソコンを占拠する。
すぅ、と息を吸って、キーを叩き始めた。
「Complete recovery-全快
 RPG equipment-RPGの装備
 While fending off attacks-攻撃をかわしつつ
 Pinpoint attack-急所を攻撃しろ」
俺よりも速くキーを叩き、アクターに指令を出していく。
無理だ、俺こいつ超えられないわ。
シローが出した指令の通りに動いていく。
ダメージ全回復、バズーカを装備し敵の攻撃を避けつつ急所を狙う。
確実にサジテにダメージを与えた。
それでもこちらが不利だ。
相手はただ武器で攻撃しろとしか指令を出していないだろう、多分。
なのになぜここまで強いのか・・・
「にゃろう、ハックしたな」
シローが呟く。
もしくは作り直したか、か。
そうなれば、簡単に無敵アクターが完成する。
「ゲーマーとしてルールは欲しいもんだが・・・これはこれで面白い」
シローがにやりと笑う。
「無敵を超える無敵を教えてやるよ。
 Self-renewal-自己再生
 Complete avoidance-完全防御
 Attack with full force-全力攻撃」
うわぁだめだ、これルールとかいらないな。
「相手はサジタリウス。加減は必要ないだろ」
「それでもここはヤツのフィールドだ。油断はできない・・・・って」
言ってるそばからディスプレイがショートした。
流石に耐えきれなかったか。最新型なのに。
コードをすべて抜き、急いで別のディスプレイに交換する。
復活したその画面に映っているのは、君の予想通り。
「負けか」
「勝てるとは思ってなかったがな」
と適当に負け惜しみを言っていると、突然音声通話画面が表示された。
「面白かった、また遊んでほしいな」
その一言で通話は終了した。
これを見て、俺たちは言葉を失った。
聞えてきたのは、幼げのある少女の声。
ということはまさか・・・・・・。
「サジタリウスって、子供ぉぉぉぉぉぉっ!!?」

連載化計画進行中。

第1章「Is she Alice?」

「えーっとぉ・・・・」
どうしたらいいんだろう。
非現実的な世界に来たことに驚き興奮している。
だが、それから何をすればいいのだろう。
アリスはウサギを追って穴に落っこちて異世界に行ったり、
鏡を通り抜けて異世界に行ったりしている。
だが私はどうだろう、本に吸い込まれたのだ。
いや正直意味が分からないが。
目の前を飛ぶトランプをじっと見ていると、どこからか声がしてきた。
「詩・・・?」
綺麗な、少女の声だ。
辺りを見回し、声の主を探す。
「あ、いた」
後ろの岩に座り込み、本を持って詩を読んでいる少女がいた。
少女に向かって走り出し、話を聞こうとする。
「あの・・・!」
その声に反応し、少女はビクっと肩を揺らした。
同時に、慌てて逃げだしてしまった。
え、なんで?
さらにスピードを上げようとすると、足元の石で躓いてしまった。
やばい、このままじゃ・・・
派手に転げてしまった。
近くにいた小さなリスが、私を指さして笑っていた。
「ぬー・・・」
そのリスをにらむ。
ここであることに気付いた。
さっき石で躓いたのに、足に痛みはなかった。
足を見ると、自分がいつも履いている青い靴があった。
立ちあがって自分の姿を見る。
「え、これって・・・・」
見るからに『アリス』と同じような格好だった。
ただ、頭についていたのは大きな青いリボン。
知らぬ間に髪を結ばれ、ツインテールになっている。
ここだけは『アリス』とは違っていた。
「い、いつの間にっ!?」
自分でこんなことをした覚えはない。
だとしたら、誰が?
棒立ちの状態で考えていると、目の前に馬が現れた。
ただの馬ではない。額の中央に一本の角が生えた馬だ。
「ゆ、ユニコーン!?」
まさか、そんなばかな。
伝説の生物が、なんでここに?
ユニコーンはただそこに立ってアリスを見ている。
ええと、確かこれは・・・・
記憶の中から何か大切なことを探る。
ユニコーン・・・アリス・・・・
「はっ!」
そうだ、『ライオンとユニコーン』!
「ライオンとユニコーン、王冠かけて戦った・・・」
静かに暗誦しながら、恐る恐る後ろを向く。
後ろには・・・大きなライオン。
腹を空かしているのか、獲物を狙う目でこちらを見ている。
もしこれがあの唄の通りなら、ライオンはユニコーンを倒して街中を追っかけまわす・・・
ま、街なんてないよ~!
あたふたと右往左往する。すると遠くに何かが見えた。
「街・・・?」
と、目を細めて見る。
その後ろで2体は戦っていた。
そんなことを気にせず、遠くの街らしきものへと走り出す。
「えーと・・・白パンと黒パンだっけ?」
あとプラムケーキ・・・・
「なんなの・・・それ」
見たこともないものを、どうやって持ってこいというのだ・・・。
そんなことを考えているうちに、街についた。
息切れしていた。そりゃそうだろう、かなり走ったし。
まぁ、あまり外に出ないから体力が低いってのもあるかもしれないけど。


Followed.